3.冷え症の為の効果的な入浴法。半身浴・全身浴~今日からはシャワーですませられない~
冷え症にはお風呂、その効果。
冷えを身体から取って健康なからだを維持するには、やっぱりお風呂です。そのお風呂に入ると言う事が、どれだけ人の体に恩恵を与えてくれるのでしょうか?
人間の体は約70%が水です。そして、生命の起源は海。海水に生命の起源をもち、胎児のころは羊水という水の中で過ごしてきました。水は生命の原点です。潜在意識の下で、遠い過去の海と羊水を思い出させてくれる入浴は、心と体に理屈抜きの安らぎを与えてくれます。
では、科学的にはどのような効果があるのでしょう?
- Ⅰ.温熱効果
温まった血液が全身に行きわたると血流量が多くなり、新陳代謝が活発になります。汗腺が刺激を受け老廃物がでやすくなり、コリのあった部分もほぐれ、疲労も回復します。また、温まった血液が脳にも運ばれ神経が緩和されリラックスできます。
そして、運動でしか分泌されないと思われていた、甲状腺や副腎、性腺などから分泌されるホルモンが入浴による温熱効果によっても一時的に増えることがわかってきています。病気で運動できない人が入浴でも運動と同じ効果が得られます。
- Ⅱ.清浄効果
体温より高いお湯につかると毛穴が開き、皮膚についた老廃物が取られ、皮膚呼吸が復活します。入浴後の爽快感をもたらします。
- Ⅲ.浮力効果
お風呂につかると、浮力により手足が動かしやすく、関節を柔軟にしたり、逆に、水の抵抗を受け筋力の増強ができます。お腹をひっこめたり、ふくらしたりすると、皮下脂肪を落とす効果も。
- Ⅳ.水圧効果
湯船につかると水圧でウエストが5cmほどほそくなります。この水の水圧は静水圧と呼ばれ、マッサージと同じ効果があります。水圧のかかった血流はスピードアップされ、心臓から出される血液が増え、血中の酸素をはじめとする大切な栄養が、体の隅々までムラなく行き届くようになります。
どうですか?毎日シャワーですまされている方々、こんなにもお風呂はいいものなんです。お風呂を見直してください!
でも、皆さんが日頃はいっている方法は、ほとんどの方が間違った方法ではいっています。
当院に来られる冷え性と言われる方々で共通する事は、熱いお風呂にはいって、肩まで浸かっていると言われます。
熱めのお風呂は、だいたい42~43度、ひどい方で44度。熱いお湯でないとはいった気がしないと言われます。
こういうお風呂の入り方は、体の疲れを取ったり、リラックスしたり、痛みをやわらげるはずの入浴をかえって悪くしたりしています。
では、なぜ熱い温度で肩までつかることがよくないのでしょうか?
43度以上の熱めのお風呂では、血圧が入浴後2分で30~50mmHgも上昇します。高血圧、動脈硬化、糖尿病で血管がもろくなっている人は、脳出血のリスクが高まります。
血液を凝固する血小板の働きが盛んになるため、血栓ができやすく、脳梗塞や心筋梗塞の原因になることもあります。
それに、熱いお湯で急激に温まった体は、血管が収縮し、体表面だけが温まっているので、冷めるのがとても早いのです。魚を焼く時、火が強いと表面は焦げても中身は半生状態、あれと同じです。
そして、肩までつかることは、水圧で静脈が圧迫され血液が急に心臓に戻るため、心臓に負担がかかります(全身浴は500㎏以上の圧力がかかると言われています)。
さらに、腹部が水圧によって縮むと、横隔膜が上方へ押し上げられ、肺を圧迫し、肺に取り入れられる空気の量が減少し、これをカバ-する為に呼吸数が増えます。
このように、血管、心臓、呼吸器などが活発化、高血圧、心臓の弱い人、呼吸器系の疾患を持っている人には、特に不向きなものとなります。小さいお子さん、お年寄りにもです。
それに、全身浴は冷えた足先よりのぼせている上半身が先にあたたまってしまいます。
昔は、お子さんに熱いお湯にはいって、「肩までつかって100数える」なんて言っていましたが・・・、よくなかったんですね。
血流がよくなり老廃物を排出し、冷えを解消するにはぬるめのお湯でゆっくりの半身浴がいい。
熱いお風呂で肩までつかってがまんが良くない事がわかっていただけましたか?
それではどうしたら?
最近ではテレビCMでも半身浴がいいと宣伝されていますが、ほんとにいいんです。
半身浴とは、ぬるめのお湯でゆっくりみぞおちからしたをつけて入浴する事を言います。
ぬるめのお湯とは、38~40度です。そして、ゆっくり20分程つかります。
この温度と時間が大事なんです。
ぬるめのお湯で行うのは長くつかる事ができるからです。ほとんどの方がはいっている熱いお湯だと20分もはいれません。それは、心臓への負担等今まで書いてきた通りです。
38~40度のぬるめのお湯は、緊張状態をほぐす副交感神経のはたらきが高まり、リラックスでき、脈拍も安定し、自律神経や内分泌の乱れも改善してくれます。
入浴中に血液は1分で1回全身を循環します。20分半身浴すれば20回循環するので、体を芯からあたためられるのです。
あついお湯にはいって、だらだらと汗をかいている方、リラックスするはずが、緊張状態を作る交感神経を働かせ、かえって寝付かれなくなったり、痛みが増してしまったりという状態にしてしまっているんです。
さらに、だらだらと汗をかいて、血液はどろどろになってしまいます。
みぞおちから下の半身浴だと、心臓や肺に負担がかからず、冷えた足元が温められ、のぼせた上半身との差が小さくなります。
全身の血行がよくなり、新陳代謝もよくなり、先ほどのお風呂の効果が生かされるんです。
入浴後のあたたかさが長続きするのも半身浴です。 ぜひ、その違いを体験してみてください。
半身浴のやり方
- お湯はみぞおちより下、腕はつけない。
- 湯量が多ければ洗面器に座るなどしましょう。
- お湯の温度は、38~40度
- 時間は20分程度
半身浴の注意ポイント
38度~40度のぬるめのお湯、そんな温度では(特に冬場)肩などが冷たく寒い、と思われるかもしれません。
半身浴をはじめる頃はさらにそう感じられると思います、そして、なかなか汗がかけないかもしれません(それだけ体の代謝がよくない証拠)が、新陳代謝が良くなり汗がかけるようになれば、その温度でも寒くなくなります。
寒いと思われる場合は、浴室を熱いシャワーを出して蒸気で温めるとか、乾いたタオルを肩にかける、肩に掛け湯ををする、時々30秒ぐらい肩までつかるなど工夫をしてください。
特に、冬場は温度が下がりやすいので追い炊き等して下がり過ぎないようにしてください。
汗をかきますので、水分補給を忘れずに。
体が芯まで温かくなると、水滴が肌についていても気になりません。でも、水滴が蒸発する時熱を奪うので湯冷めの原因になります。しっかりとタオルで拭き取りましょう。
時間内でも、立ちくらみや疲れるという方、病後やお年寄りは時間を短めに調整してください。
お風呂場は密閉されます、酸欠にも注意して換気も忘れずに。
絶対に無理はしないでください。「過ぎたるは及ばざるが如し」です。
※心臓・肺などに疾患等問題がなく、首こり・肩こり方は、全身浴で首・肩の血流を良くし、こりを解消するのも一つの入浴法です。熱すぎる温度ではいけませんが、最近では冷え症の方も全身浴が良いといわれています。このぺージ下部の整体日記の項目を参考にしてください。
冷え解消に、そして、からだにとっても、半身浴がいい事がわかっていただけたと思います。
でも、毎日仕事で忙しい、小さなお子さんがいるので長時間入れない、一人暮らしで湯船にお湯をはらない、症状が重く毎日入れない等々、よさがわかってもできないと言われる方におすすめするのが、時間を選ばず手軽に半身浴と同様の恩恵がうけられるものがあります。
最近ではそのグッズもよく見かける、
そうです、足湯・フットバスです。
入浴方法はこちらも参考にしてください。整体日記(ブログ)より
・・・加温生活 「ヒートショックプロテイン」があなたを健康にする。
・・・自律神経を整える入浴法